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■ 第3回 コンピュータの基礎知識

ハードウェア技術
プロセッサの構造

プロセッサは、以下の機構から構成されます。
このうち特に、制御機構とレジスタと算術演算回路の箇所がCPUと呼ばれます。

主記憶装置

コンピュータ内でデータやプログラムを記憶する装置。通常「メモリ」と呼ばれる。
半導体素子を利用して電気的に記録を行うため、動作が高速で、CPUから直接読み書きすることができる。揮発性で、電源断によって内容は消去する。

制御機構

コンピュータが命令を実行する際、この一連の処理の流れを正しくコントロールする機能を持つ。
内部にシステムクロックを持ち、一定間隔ごとにパルスを発生させ、マシン内の回路の同期を取りながら、命令を進めていく。

演算機構

486は整数論理演算ユニットと浮動小数点から構成され、命令の種類に応じて、制御機構が使うユニットを割り振る。レジスタと呼ばれるCPU内部の記憶領域を用いて、命令を実行する。

入出力装置

コンピュータ内部で各回路がデータをやり取りするための伝送路。1回の転送で同時に送れるデータの量を「バス幅」と呼ぶ。
バスには大きく分けて、CPU内部の回路間を結ぶ内部バス、CPUと主記憶装置などの周辺回路を結ぶ外部バス、拡張スロットに接続された拡張カードとコンピュータ本体を結ぶ拡張バスの3種類がある。

プロセッサの高速化技術
パイプライン

CPUの命令実行過程は、通常4〜5段階に分割され実行されます。
パイプラインとは、この4段階を逐次的に進めるのではなく、オーバーラップさせて実行するしくみです。
単位時間に実行される総命令数が増え、スループットの改善が期待されます。

<パイプラインなし>

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

(単位時間)

命令1

T

U

V

W

命令2

T

U

V

W


<パイプラインあり>

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

(単位時間)

命令1

T

U

V

W

命令2

T

U

V

W


スーパーパイプライン

パイプラインの段階を細かく設定することで増やす方法。
1つの段階で行う処理の複雑度が下がるため、クロックを挙げることが可能になる。

スーパスケーラ

CPU回路に複数本のパイプラインを実装して、命令を並列に実行する方法。

キャッシュメモリ

CPUと主記憶装置の間にある高速のメモリで、CPU−主記憶間のアクセスの高速化を実現します。
キャッシュメモリには、現在実行中の処理に当座必要となる命令やデータを、主記憶から取り出して格納します

主記憶装置への平均アクセス時間
キャッシュメモリの平均アクセス時間 * ヒット率 + 主記憶への平均アクセス時間 * (1 - ヒット率)
※ヒット率:データがキャッシュメモリ上にある確率

キャッシュと主記憶への書き込み方法は、以下の2つの方法があります。

ライトスルー方式

キャッシュと同時に主記憶への同時書出しを行う。

ライトバック方式

キャッシュと同時に主記憶への同時書出しを行わない。
キャッシュのフラッシュ(初期化)時に主記憶への書き戻しを行う。

メモリインターリーブ
主記憶装置をバンクと呼ばれる単位に分割し、バンクの数だけ並列に命令やデータを読み出す高速化技術です。
メモリの一部が故障した際に、その箇所を切り離して動作を続けるフェールセーフの機能も持ちます。
CISCとRISC

プロセッサの設計方式には、主に以下のようなものがあります。
現在では、この両面の考え方をあわせもったプロセッサが開発されています。

CISC

高級な命令群を持ち、複雑な処理を実行できるようにすることで処理能力の向上をはかっている。Intelのx86と互換がこの方式に当てはまる。

RISC

命令群を使用頻度の高い単純なものに限定することで、パイプライン処理の効率を高め、処理性能の向上をはかっている。ワークステーション用のCPUにはこの型のプロセッサが多い。Sun Microsystems社のSPARCやDEC社(現在はCompaq Computer社の一部門)のAlphaなどがこの方式に当てはまる。

仮想記憶方式

補助記憶装置をもちいて、主記憶装置の容量以上のアドレス空間を作り出す方式です。
仮想記憶の実体は、ディスク上のページデータセット上に存在します。これを外部記憶と位置付けます。
主記憶装置を実記憶と位置付けます。
実記憶と仮想記憶の間のプログラムの移動は、以下の2つの形式のいずれかで行われます。

ページング方式

プログラムを一定の大きさに分割し、配置する。

セグメント方式

プログラムを論理的に意味のある単位(セグメント)で分割し、配置する。

上記の方式で分割されたプログラムを、外部記憶−実記憶間で置き換える場合の方式は、以下のものがあります。

LUR方式

最も長い間参照されていないページをページアウト対象とする方式。

LFU方式

参照された回数が最も少ないページをページアウト対象とする方式。

FIFO方式

最も長い間実記憶上にあったページをページアウトする方式。最も頻繁に用いられているページへのページアウトが発生し、ページフォールトの可能性も高い。

※外部記憶→実記録へのページ移動をページイン、実記憶→外部記憶へのページ移動をページアウトと言います。


ネットワーク・アーキテクチャ
ネットワークの基本要素
ネットワークの構成要素は、その役割ごとに階層的になっています。
例えば電話を考えてみると…
@「もしもし?」から会話を始める、相手が話し終わってから応答するなど、対話のルールに従って会話します。
A人の音声は、電話で電気的信号に変換されます。
BAで電気的に変換された信号が電話線を行き来します。
以上のように、人の会話、音声変換、電気信号送信等の機能的な階層があり、その階層間に”ルール”が存在します。
           

ソフトウェアも電話のように様に、通信の役割が階層的に構成され、各々の階層毎のルールに従って機能します。その階層のことを”レイヤ”と言います。

その他、ネットワークを構成する要素を、電話を例にして表現するなら、
人、電話、電話線等”実体のある要素”のことを、”エンティティ”と言います。
電話線のような”エンティティ間でデータをやり取りするために設けられた通信路”のことを”コネクション”と言います。
人との会話のルール、音声変換のルール等”同一レベルの階層間各々に必要な通信ルール”のことを”プロトコル”と言います。

レイヤの代表的なモデルとして、OSI(Open System Interconnection)基本参照モデルがあります。
OSIの階層モデルは、ISO(国際標準化機構)がマシン間でメッセージを送信するために1978年に制定したソフトウェアモデルです。

OSI基本参照モデルの特徴は、
・標準化された機能構造をもっています。
・通信や情報処理アプリケーションに対して統一的に当てはめることの出来る機能構造を持っています。
・コンピュータの能力に依存しない、共通の機能を示しています。
・機能を階層化したことにより、製品の機能を考える際に、用意に拡張した弾力的な考え方が可能です。

下表は、そのモデルと機能を記したものです。

7層

アプリケーション層

2つのネットワーク・アプリケーション間での情報転送を行います。

6層

プレゼンテーション層

データの整形、テキストのフォーマット、表示、コード変換などを行います。

5層

セッション層

アプリケーション間の通信の設定、同期制御、調整などを行います。

4層

トランスポート層

通信網の違いを吸収し、信頼性の高い、経済的な通信機能を実現します。

3層

ネットワーク層

ルーティング、輻輳制御、インターネットワーキング等を行います。

2層

データリンク層

伝送誤りの検出、同期通信、再送制御を行います。

1層

物理層

ハードウェア接続。ネットワーク媒体にビットを渡します。

このOSI基本参照モデルに接続機器を当てはめると、

階層

接続機器

機能

アプリケーション層

ゲートウェイ

プロトコルの異なるネットワーク用の接続

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

ネットワーク層

ルータ

ルーティング(最適経路の決定)、ネットワークの中継を行います。

データリンク層

ブリッジ
スイッチングハブ

フィルタリング(通過データの選択判断)、データリンク層の中継を行います。

物理層

リピータ

信号の増幅、再生(データの識別はしない)

ネットワークのルール
TCP/IPプロトコル

ネットワークで通信を行うためには、上述したように"プロトコル"と言います。その代表的なものに、"TCP/IP"があります。
 TCP/IPは、インターネット、FTPなどで広く利用されているプロトコルです。このプロトコルをOSI基本参照モデルに対応すると、下表のようになります。

階層

接続機器

機能

アプリケーション層

アプリケーション層

通信ソフトのサービスを提供します。通信ソフトの例としては、Telnet(仮想端末プロトコル)、FTP(ファイル転送プロトコル)、SMTP(電子メール転送プロトコル)、POP(電子メール受信プロトコル)など

プレゼンテーション層

セッション層

トランスポート層

トランスポート層

通信相手先とのデータ通信を行います。

ネットワーク層

インターネット層

通信経路の選択や中継を行います。

データリンク層

ネットワーク・インターフェース層
LAN、Etherneなど

通信ハードウェア間でのデータ転送を行います。

物理層

IPアドレス

IPアドレスはインターネットで用いられる固有の番号です。前述の電話の例で言うと、”電話番号”に相当します。
IPアドレスは32ビットの情報は、8ビットずつ4つに区切り、それぞれを10進数に直して表記されます。また、ネットワークを特定する部分、とそのホストコンピュータを特定する部分で構成されています。ネットワーク毎に割当てられるのがネットワークアドレス、個々のコンピュータに割当てられるのがホストアドレスです。ネットワークアドレスとホストアドレスの区切りは、そのネットワーク規模に対応して変わります。

クラス

32ビットの構成

ホスト
アドレス数

備考

クラスA

0

ネットワーク部 
7ビット

ホスト部 
24ビット

1600万

大規模ネットワーク向け
先頭1ビットは'0'で始まります。

クラスB

10

ネットワーク部
14ビット

ホスト部 
16ビット

65,534

中規模ネットワーク向け
先頭2ビットが'10'で始まります。

クラスC

110

ネットワーク部 
21ビット

ホスト部
 8ビット

256

小規模ネットワーク向け
先頭3ビットが'110'で始まります。



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