■ 第2回 システム運用管理(1)
システム運用管理部門 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
企業では、システムを運用することが主業務の部門として、システム運用管理部門が大体設けられています。システム部の1部門として設けられている場合もあり、独立している場合も有ります。しかしその部門にシステム開発を行わせている企業(少なくとも大企業)は少ないでしょう。通常、システム運用管理部門は、開発したプログラム資産を、開発部門からシステムテストを通じて受け取り、本番後の運行の管理を任せられる部門として位置付けられます。また、中長期的な運用評価を行い、TCOの削減を図るのも役割の一つです。以下にシステム運用管理部門の業務をまとめてみました。 |
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では、実際の運行業務ではない、システムの導入段階のお仕事である運用に関する設計はどうでしょう。それは、システム開発部門とシステム運用管理部門の協業の産物であることが望ましいといえます。 |
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運用設計とは | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
運用設計とは、実際の運用手順を記述する上で、また運用に密接に関連する基盤を開発する上での指針となるべき設計です。そのシステムで、どんな運用ソフトウェアを使用し、どのような運行をおこなうのかをまず定義しておかないと実際の運用は始まりません。また、「使えるシステム」も構築できません。では、どのようなことを設計するのが運用設計なのでしょうか。その典型的な設計書の目次を以下にあげておきましょう。 |
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この他、性能や移行についての記述を盛り込むことがありますが、それは内容が多いため独立した設計書を起こしていたりするので、ここでは含めていません。 |
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運用範囲と運用レベル | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
システムの運用はどこまでを行うのでしょうか。どのレベルまでをサポートするのでしょうか。それを決めてからでないとサービス過剰となったり、やらなくてはならないことが設計できていなかったりします。第1回の説明でもあったように、利用するユーザに対してどこまでサービスを行うのかを取り決めた上(SLA締結)で、システム運用管理の骨格を決めていく必要があります。また、運用するコストも馬鹿になりません。そのシステムに最適なシステム管理サービスの形をコスト面からも見極めて設計する必要があります。 |
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運行管理 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
システム運用管理部門の業務は、実際のシステムを運行管理することが大事な業務の一つとなります。実際には、マシンセンタなどにいるオペレータが手順書どおりにシステムを運行していますし、大半のシステムは、スケジュール運用ソフトが、決められたスケジュールに従い、自動的に業務を運行させています。しかし、そのスケジュールを決め、不測の事態に際して業務運行をどうするかを判断し、管理していくのはシステム運用管理部門の仕事です。また、24時間フル稼動させておくシステムや遠隔地のシステムとスケジュール連携を行うシステムも増えており、スケジューリング設計は最も難しい設計の一つとなっています。 |
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上記以外にも各社から多種多様な運用管理ソフトウェアが提供されています。運用管理ソフトウェアの選択は、そのシステムの運用方式を決定する大事な要素となります。通常は、選択したOSに最も親和性の高い、また実績の有るソフトウェアが選択されています。 |
■ 関連キーワード
TCO(Total Cost of Ownership) |
コンピュータ資産のシステム導入コスト(イニシャルコスト)とその資産維持に関する費用(ランニングコスト)、人的費用(要員の教育・技術習得費用及び運用維持管理費用、管理者費用、エンドユーザサポートサービス費用)なども含めた総合的な運用コストをいいます。維持費用を含めるので、通常何年かのスパンでのコスト評価を行います。 |
ランニングコスト |
システム導入後に、システムの資産(システムのハードウェアやその上で稼動しているソフトウェアや業務システム)を維持運用するために必要とされる費用をいいます。ランニングコストに対し、システムを導入時の費用(ハードウェア・ソフトウェア購入費用・システム開発費用など)は、イニシャルコストと呼びます。 |
ヘルプデスク |
ヘルプデスクとは、広義の意味では、システムの使用方法やトラブルなどについて、ユーザの問題解決を助けるサポート窓口やシステムをいいます。 |
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